佐紀を見て

三田 「お前たち、雅美のグループと、
    二つに分かれていただろう?」

佐紀 「コーチ、それ……」

三田を見上げる佐紀

三田 「見てれば分るさ。
    まあ、お前たちが、雅美の為に来た
    と言うことは、一歩前進かな」

佐紀 「私、そんなに……」

三田 「それも、見てれば分る。
    壁は雅美が作ってたんだろう。

    でも、雅美が、何かを
    つかんだようだから、
    これで、また、一歩前進かな」

少し考えて

三田 「よし、わかった。
    これからは、気をつけよう。

    お前も、それを頭に置いて、
    チームをまとめて行け。いいな?」

佐紀 「はい。わかりました」

会釈して、立ち去ろうとする佐紀を、
呼び止める三田

三田 「佐紀!」

振り返る、佐紀

三田 「仲間を思うのは、いいことだ。
    これからも頼むぞ。キャプテン」

佐紀 「はいっ」

笑顔で走って、体育館に入って行く佐紀


顧問 「へー、
    そういうことだったんですか」

微笑み、うなずきながら、つぶやく三田

三田 「種を、見つけたようだな」

顧問 「えっ、今のが、種なんですか?」

三田 「いえ、そういうことじゃなくて…」

話しながら去って行く、三田と顧問