次の日、休み時間。

廊下で待つ、制服の雅美の所へ、
佐紀がやって来る

佐紀 「どうしたの?」

雅美 「うん」

言いにくそうな雅美

佐紀 「何なの?」

雅美 「うん………、私………
    部活、辞めようかと思って……」

佐紀 「えっ、何で? バスケット、
    好きだって言ってたじゃない」

雅美 「うん……、好きだよ……」

意を決したように、話し出す

雅美 「でも、見えないんだもん、
    出来ないんだもん。

    皆、よくパス・カットしてるし、
    コースもきちんと切れてるし。
    私、コーチに叱られてばっか、で」

佐紀 「そんな、
    あれは突然判るようになるって、
    コーチも言ってたし。
    雅美だっていつか…」

雅美 「ごめん……。でも、やってて、
    面白くないんだもん。

    皆、上手くなってきたから、
    私なんか、いなくっても、
    試合、出来るでしょう?」

佐紀 「それと、これとは…」

雅美 「じゃ、そういうことだから」

雅美は、言いたい事だけ言うと、
背を向けて、歩き出した。

佐紀 「ちょっと、雅美!」

しかし、それには耳を貸さず、去って行く雅美

梨沙が教室から出てきて、雅美の後姿を見る

梨沙 「どうしたの?」

佐紀 「ううん。ちょっと…」

雅美が去っていったほうを見る佐紀