バス停に着き、バスを待つ佐紀達

バス停に着き、バスを待つ佐紀達

三田 「それと、……恩返し」

佐紀 「恩返し?」

三田 「ああ、バスケットに出会うまでは、
    真面目で大人しい子供だったんだ」

梨沙 「それって、根暗ってこと?」

三田の眉が、ピクッと動く

三田 「真面目で大人しい子供だったんだ。

    もし、バスケットに
    出会わなかったら、
    どんな人間になっていたかと
    考えると、ぞっとするな。

    大学での勉強は、
    何の役にも立ってないけど、
    バスケットで教えられたことは、
    今でも、
    大いに役立っているからな。

    そんなバスケットのために、
    何かできることをしたいと
    思ってるんだ」

顧問 「恩返しかぁ。わかる気がするな。
    先生も…」

佐紀が、割って入る

佐紀 「コーチも、子供の頃が、
    あったんだ」

三田 「そりゃ、そうだろう」

梨沙 「コーチの、根暗の子供時代。
    想像すると…、うっ……寒気が…」

無視して続ける、三田

三田 「バスケットには、いろんなことを
    教えられたからなあ。

    だから、多くの人に、
    もっと、もっと、
    バスケットを知って欲しいんだ。

    知れば知るほど、
    面白くなってくるしな」

梨沙 「コーチぃ、熱く語ってるじゃん」

佐紀 「私達も、頑張ります」

三田 「心配するな。イヤでも頑張れるような
    練習メニューを、考えているから」

梨沙 「えー、そこの所はちょっと、
    まけてよ」

三田 「ダメだ」

梨沙 「コーチ、クールじゃん」

友理が、思わず吹き出す。

友理に、笑顔が戻る

バスが、バス停に着く

顧問 「よーし、みんな、乗れー」

バスに乗り込む佐紀達