部活~ウチら、バスケ部~中学編


友理のいた、神戸の中学校、体育館。

コーチの怒号が響いている

制服の友理が、コーチの所へ行く。

   「オイ、何してんねん。
    早よ、着替えてこんかぁ」

   「コーチ。私、辞めます」

   「えっ、ああ、そうか。残念やな
    背ぇ高かったから、
    期待しとったんやけどな」

しかしその声に、残念さは微塵もなかった。

   「まあ、しゃあないなぁ。
    部活なんてモンは、絶対せなならん
    モンでもないんやからな」

そう言うとコーチはまた、練習を見始めた。

横で見ていた部員達が、小声で話している。

   「何や、友理、辞めんのか?」

   「ええやん。どうせ、大した戦力に、
    なってへんのやから」

   「そやな。これで練習も、スムーズに
    行くんとちゃう?」

   「ホンマや」

声を殺して笑い合う、部員達。

コーチは、大声で指示を出している。

コーチの中ではもう、
友理の存在は消えていた。

誰も、友理を見ていなかった。

淋しそうに、コーチの元を去る友理。

体育館を出た所で、
後ろから、麻子の声がした。

   「友理!辞めんのんか?」

部活で唯一、仲のよかった麻子である。

立ち止まる友理。

   「何でやの。
    一緒に頑張ろって、言うたやん」

友理は、前を向いたまま、動かない。

   「あんたがおるから、ウチも、
    頑張れるんやで」

再び、歩き出す友理。

   「友理!
    バスケ、好きなんやろ?」

その声に耐えられなくなり、走り出す友理。

   「友理ー!」

友理は泣きながら、心の中で、
「ごめん」「ごめん」と、叫んでいた。

早く、麻子の声の届かない所へ行きたかった

走り去る友理。