「ニャー!!ニャーン」


猫が目の前を通り過ぎる。



「恭平!!今すぐにどっかにやりなさい!!」



珍しく、一平は取り乱している。無理もない。一平は大の猫嫌いだからだ。



猫は、俺がさっき脱いでおいて置いた白衣を下敷きにしてそこにちょこんと座っている。



『ユリナ!!ユリナはどこじゃ!!』



あれ?今の声は…確か綾坂の屋敷に居る奴だな。影が濃いけど、あまり目立ってない奴。



名前なんて覚えてねーけどな。



「おい!ガキこっちだ!」



だだだ…



俺の声に気付いた茶髪のガキは、走って向かって来る。俺の真横を通り抜け、猫に突進する勢いで猫に抱き付いた。



「どこにおったんじゃ!!探したんじゃぞ!?」



この猫ってこいつのか?でも、あそこんちって他に飼ってなかったっけ?美羽が飼ってるって言ってたしな。



猫…懐かなくて泣いてたしな。前…