「お前が……で、あいつ毎日泣いてたんだ。お袋達も、困っててある日、真奈美がワガママ言ったんだよ。あっこの肉まんが食べたい、○○公園の屋台のたい焼きが食べたい」



真奈ちゃんのお兄さんは、切なそうに話をしている。
トイレから出て、近くのベンチに腰掛けながら僕は、話を聞いていた。



「そしたら、仕事で疲れてるのにも関わらず、お袋達真奈美が可愛くてしょうがなかったんだよな……ハイハイ言いながらワガママ聞いてたよ」



「……」



「最後の一個のワガママは、フレンチレストランに連れて行ってだった。そのレストランに、不運にも、一台の車が突っ込んで来たんだ」



「……」



真奈ちゃんのお兄ちゃんの瞳に、うっすら涙が溜まっている。



「真奈美は、一応助かった。オヤジとお袋のおかげでな?だけど、お袋達は助からなかった……真奈美には言ってない」



「……」



「だから、昔の事は思い出させないようにしている。頭をうって、記憶なくしてるから、ちょうど良いんだ」