「ここの娘さん?

お店の手伝いえらいわね。重かったでしょう?ありがとう。」


見かけないお客さん


でも こんな風に誉められちゃうと

ちょっと うれしい。


「ありがとうございました。」

久しぶりにいい気分。


だったのに・・・



「よ~、コメコ。店番かあ。
それ以上 腕太くすんじゃね~ぞ。」


そんなこと言いながら


ビユ~ンと自転車で幼なじみの俊太が友人たちと一緒に通り過ぎて行った。



「うるさ~い、俊太!」


もっと何か言い返してやろうと思った

けど


俊太と一緒にいた男子たち

みんな笑ってた



「やなヤツら!」






近所の友だちは当然だけど

米屋“玄舞”の娘だって知ってる。



そうゆう友だちたちは みんな私を


米屋の舞子で『コメコ』と呼ぶ。



中学卒業するまでずっとそう呼ばれてた。

それが、すごくイヤだった。



だって、最初にそう呼んだのは

さっきのあいつ


幼なじみの俊太―――川崎俊太(かわさき しゅんた)


だったから・・・




保育所から中学までず~っと腐れ縁



大キライ


「いつも人のことバカにして・・・」