ガラリと美術室のドアを開ける。
とたん、一斉に部員達がこっちを振り向いた。
「な、何?」
部員と言っても、3年生が6人。
2年生が9人と部員は少ない。
それでも全員いれば15人。
人数の倍になる瞳が私を見て、たじたじっとした気分で一歩下がってしまう。
「桃!」
隣のクラスの川端 瑞希ことミズちんがサッと駈け寄って来て、私の手を掴むと引っ張った。
「彼女がそうよ!」
そう瑞希がそう言って私を皆の中に押す。
キャンバスで気づかなかったけれど、その向こうにあの天使の男の子が立っていた。
「彼女の名前は、堀口 桃。受付事務所の前に置いてある作品の主だよ」
自分の自慢のように、ミズちんが言う。
「何? どうしたの?」
全然何が起きているのか理解出来ない私に、彼が優しく微笑んだ。
とたん、まわりから『可愛い』とか、『天使の微笑みよ』とか聞こえてくる。
「こんにちは、先輩。また会いましたね。僕は諏訪 忍です。受付事務所の前に置いてある作品を見て、ぜひ美術部に入部したいと思ってここに来ました」
「忍くん、去年の文化祭で桃の作品を見て、うちの高校を受験したんだって。桃、すごいじゃん」
皆すごく興奮ぎみだ。
うちの部は女性比率が高い。
彼の入部希望を聞いたせいだろう。
少し離れた場所に立っている、彼と同じ、入部希望でいる子が寂しそうに立っていた。
「そうなんだ。じゃあ、諏訪君、宜しくね」
それだけ彼に言って、私はもう1人の入部希望の1年生の前に立った。
「貴方も入部希望?」
「あ、はい!」
「私、2年の堀口 桃。君は?」
出来るだけ優しく見えるように意識して彼に笑いかける。
さっきまでの表情を見れば、諏訪君の入部で周りは興奮して、彼の存在をおざなりにしてしまったのだろう。
同じ新入部員だし、諏訪君は先輩達が面倒をみるから、私は彼の面倒を見ることにした。
「お、俺は内藤 和輝です」
「内藤くんね。じゃあ、私が色々教えてあげる。こっちに来て?」
私が内藤君を連れて準備室に向かうと、背中で他の子達が諏訪君の面倒をみようと、大騒ぎしている声が聞こえた。
とたん、一斉に部員達がこっちを振り向いた。
「な、何?」
部員と言っても、3年生が6人。
2年生が9人と部員は少ない。
それでも全員いれば15人。
人数の倍になる瞳が私を見て、たじたじっとした気分で一歩下がってしまう。
「桃!」
隣のクラスの川端 瑞希ことミズちんがサッと駈け寄って来て、私の手を掴むと引っ張った。
「彼女がそうよ!」
そう瑞希がそう言って私を皆の中に押す。
キャンバスで気づかなかったけれど、その向こうにあの天使の男の子が立っていた。
「彼女の名前は、堀口 桃。受付事務所の前に置いてある作品の主だよ」
自分の自慢のように、ミズちんが言う。
「何? どうしたの?」
全然何が起きているのか理解出来ない私に、彼が優しく微笑んだ。
とたん、まわりから『可愛い』とか、『天使の微笑みよ』とか聞こえてくる。
「こんにちは、先輩。また会いましたね。僕は諏訪 忍です。受付事務所の前に置いてある作品を見て、ぜひ美術部に入部したいと思ってここに来ました」
「忍くん、去年の文化祭で桃の作品を見て、うちの高校を受験したんだって。桃、すごいじゃん」
皆すごく興奮ぎみだ。
うちの部は女性比率が高い。
彼の入部希望を聞いたせいだろう。
少し離れた場所に立っている、彼と同じ、入部希望でいる子が寂しそうに立っていた。
「そうなんだ。じゃあ、諏訪君、宜しくね」
それだけ彼に言って、私はもう1人の入部希望の1年生の前に立った。
「貴方も入部希望?」
「あ、はい!」
「私、2年の堀口 桃。君は?」
出来るだけ優しく見えるように意識して彼に笑いかける。
さっきまでの表情を見れば、諏訪君の入部で周りは興奮して、彼の存在をおざなりにしてしまったのだろう。
同じ新入部員だし、諏訪君は先輩達が面倒をみるから、私は彼の面倒を見ることにした。
「お、俺は内藤 和輝です」
「内藤くんね。じゃあ、私が色々教えてあげる。こっちに来て?」
私が内藤君を連れて準備室に向かうと、背中で他の子達が諏訪君の面倒をみようと、大騒ぎしている声が聞こえた。

