天使の林檎

 小さく笑ってみると、ポケットに入った携帯のバイブが振るえ、携帯を確認すると部長からメールが来ていた。
 ナナメ上に表示されている時計は集合時間をとっくに過ぎている。

 集合時間に遅刻してしまった・・・・・・。

 私はその場からそっと離れて、返信メールを打つ。
 その内容は・・・。

『急激な腹痛の為、ただ今(ウン○)中です。しばしお待ちを』

 嘘はつきたくないけど、本当のことを話すには重過ぎる内容だし、だったら笑われた方がいい。
 私も笑い飛ばしてもらえたら、少しは気持ちが軽くなるだろう。

 何か一度に色んなことがあって、あれほど荒くれた嵐のような気持ちも、今は凪いで、やっと色んなことが理解出来る。

 考えようによっては、本気になる前に智の本性を知って良かったのだ。
 本気になったら、今みたいに冷静に振る舞えたか自信がないし。

 気持ちの傷もずっと深かったと思う。

 もちろん、信実を知って辛い気持ちはある。

 それでも知らないでいて幸せだとは思えない。
 あのまま智と付き合っても、結局、行き着く先は予想出来る。

 人間は本質を永遠に隠すことは出来ないんだから・・・・・・。

 苦笑しつつも、痛む心を慰める。

 そんな時、突然の衝撃と、目の前に星が飛んだ。