「ちょっと話すか?」
突然声をかけられて、びっくりして振り向くとそこには先生が立っていた。
予想もしないことだった。
彼女がいる場で、昔自分を好きだった女に声をかけるなんて。
先生は私を店の外に連れ出した。
どういうこと?
彼女でしょ?
矢沢さんに誤解されるよ。
「矢沢がな、俺に頼んだんだ。荒木とゆっくり話してって」
先生は階段の前で立ち止まった。
「矢沢さんが?」
矢沢さんが私に話せって?
同情してるの?
フラれたかわいそうな私に・・・
そんな同情いらない。
「わけわかんない」
私は聞こえないくらい小さな声で言った。

