考えれば答えはすぐに出た。 矢沢さんは、私とは違う。 控えめで、 遠慮がちで、 でも、ちゃんと自分の意見は持っていて、 強い口調じゃなく、優しく相手を納得させる力を持ってる。 あの時もそうだった。 私が矢沢さんに『先生に近付かないで』と言った時。 普通なら取っ組み合いのけんかになってもいい状況だったのに、 矢沢さんは落ち着いて私に言った。 『私が誰を好きでも関係ない』って。 きっとあの時から新垣先生を好きだった。 私みたいにライバルに嫌がらせをしたりせず、じっと 先生を見ていた。