「で、逃げるなら準備もしてるだろうな?」

「まずはキッチンの戸棚に非常袋が」
「よし、来い」

魔王さまは、シルキスの手を引っぱって塔の中に連れていく。

「これか?」
「そうです」

「薬は?」

「その袋の中、いえ、今使うなら。隣の隣の箱です」

「よしっ」

魔王さまは、袋と箱をテーブルの上に放り投げる。

「脱げ、診てやる」
「ズボンもですか?」

「当然だっ」

シルキスは言われるままに脱いだ。

「ちっ」

魔王さまは舌うちし、消毒液をシルキスの傷にぶっかける。