それから魔王さまは、
買ってきた服で順にくるくるまわって見せてくれた。

大好評。

最後に、最初に着た黄色の服に戻り、今はシルキスの前に座っている。

「それで、後は何を持ってきた?」

「まずは食料です。保存が効くのがこちら、そうでないのがこちらです」

「やわらかいパンは?」
「ありますよ」

シルキスは、今朝仕入れたばかりのパンを出した。

「これは日持ちしませんから、早めに食べましょう」

「今日か?」
「そうです」

「よしよし」

塔に閉じ込められた状態で200年以上過ごした魔王さま。

実は、まったく食べなくても生きていける。

なので食べること自体が贅沢だ。
贅沢なので幸せ。