塔内。
片付けをしながら、ふとシルキス。

「そういえば、魔王さまも字を書けますよね?」

「書けるが?」

テーブルに両肘をつけて、暇そうにしていた魔王さま。

「いえ、僕がここに来てから、魔王さまが文字を書いているところを見たことがないので」

「書く機会がないからな」

「ですね」

シルキスは、少し考える。

「書く以前に、魔王さまは普通に僕と人間の言葉で話してますね。魔族と人間の言葉って、同じなのですか?」

「いまさらその疑問か」