マスターはただ、微笑んでいた。

『…あの2人は恋とか愛とか超越しているんだ。不思議な2人だよね。成長する姿が楽しみでね。』


大斗は、みんなに守られている…こんな素敵な人が周りにいるなんて、ちょっとヤキモチだよ。


『君の物語ももう始まっている、僕は夕陽ちゃんの姿も見守っているよ』


えっ?!


夕陽は少し赤くなってしまう。

マスターの言葉が胸に染み渡った。


あぁ…きっといつもなら、感極まって涙が出ているはず。でも今は何だか落ち着いてる。


夕陽は柔らかく微笑んだ。

マスターと同じように。



結局夕陽は考えた末チョコレートケーキを作った。


大斗の好みは知らなかったし、甘いものを食べてる姿も見た事ないが、そんな気分だった。


―――――――――


『咲ちゃんナーイス♪』

UFOキャッチャーの前で、咲は大きなクッションを抱えて喜ぶ。

『次これ取ろー♪』

と某有名キャラクターのぬいぐるみの台に行くが、なかなか苦戦中。

『あんたやって!』

「やれやれ」と大斗は台に向かう。


ガッコン!!


『それ違う!もう一個隣の!!』

咲が指したのは今取った男の子じゃなく女の子。

『うるせぇな!これが取りやすかったんだ!!』

『こっちは夕陽ちゃんにあげちゃおー♪早くそっち取ってよ!!』


相変わらずギャアギャアうるさい2人だった。


『ねぇ大斗?夕陽ちゃんって不思議な子だね?』


帰り道ふっと呟く咲。


『変だろ。よくわかんねぇけど、面白い。』

『面白いね、興味あるな♪』

『そうだな。でも咲が誰かに構うなんて珍しいな。』

クスッと咲は笑った。