ガタンッ!!


傑は倒されている机にぶつかり倒れ込む。


『ゆう…ひ…』

『大斗…やめて…』

泣きながらも夕陽は大斗を宥めようとする。

『ほっとけ』

夕陽の側に来た大斗は冷たい顔でそう言うと教室から出ていってしまう。

『ひろ…』

夕陽は涙で声が出なかった。


『ひぃちゃん?!何があったの?この格好。大丈夫?』

南深が夕陽の手を取り話す。

『あた、あたし…あたしは…大丈夫…でも』

『ひぃちゃん落ち着いて!!』

恭次が言う。

『大斗っ!!』

夕陽は駆け出した。

大斗を追っていく。



くだらねぇ

くだらねぇ

もう全部グチャグチャだ。

もう何にもわかんない。



昼休みが終わるチャイムが鳴る…


『大斗っ!!まって!!』

夕陽は中庭を抜けていく大斗を見つけて叫ぶ。

大斗は立ち止まる。


『なんだよ?』

表情のない顔で言った。


『どこ行くの…?…だって、…?血…大丈夫…?』


夕陽は大斗の切れている頬に手を伸ばす。

そっと触れた。


大斗は一度ゆっくり瞳を瞑ると

自分の手を伸ばし夕陽の手を顔から離す。


『ガラス跳んできただけだから、別に何ともないし』

淡々と、そう言って再び歩き出そうとする。


『待って!!あの…お、落ち着いて…』

『落ち着いてるよ、夕陽ちゃん♪』



あの時の…顔。

クリスマスの時の…

部屋をメチャメチャに荒らしたあの時と一緒…

冷たい笑い…



『…だって…そんな…顔…』

『あぁ?この顔?いい顔だろ?両何?だろ?さっきのお前の言ってる事のが、わかんねぇよ?』

『大斗…』

『俺はな、落とす気がなくても女が寄ってくるのに。…なのにお前は、俺の事全くスルーだ。』