『あらぁ…片桐さん、バレちゃった♪やっぱ鍵は閉めなきゃ駄目だなぁ』


夕陽のお弁当を開けたまま煙草を吸っている大斗がそこに居た。


『あのねぇ?何んの冗談?人のモノ取るなんて犯罪よ?』


『あー足いてぇっ』


大斗は嫌味っぽく言うとズボンを少し上げる。


『暴力も立派な犯罪よ』


うっわ…痛そう…


『……。すみません…』


お弁当箱のことはムカついたけど、最高に青くて腫れてる足を見たら謝るしかない…。


『お詫びに弁当もらうことにしたから』


極、当たり前のように言う大斗。


ななな、何て自分勝手なの?


『片桐さんの弁当いつもうまそうだから、ください?』

彼は途端に素直にお願いする。

文章がちょっとおかしい、ちょっと言い方が可愛い。


まぁいっか


大斗の表情につられて、ついこんな風に思ってしまった。


『分かったわよ。お詫びにあげる』

『ラッキ♪じゃコレやる』


夕陽は「単純」と言われてたことには全く気付かなかった。


渡されたコンビニの袋には苺牛乳とコーヒーの他にサンドイッチとおにぎりが合わせて10個くらい入っていた。焼きそばもある。


そうだった…神崎君は大食いだ!!


『あーコーヒー俺の。苺は片桐さんのだよ。英語借りたときにあげようと買ったのにお前が蹴跳ばすからね』


と嫌味っぽく言ってコーヒーだけとると


『いただきます』


パチンと丁寧に手を合わせて、お弁当を食べ始めた。

夕陽は大斗の隣でコンビニのおにぎりを食べる。


苺牛乳…


神崎君はあたしと苺を繋げる…

何で?


『うっまぃ!!』

大斗はペロッとお弁当を食べ終わり夕陽が食べきらない焼きそばも平らげる。


『片桐さん自分で作ってんでしょ?いいね、人が作った弁当って。俺食べたことなかった』


まさか、いくらなんでもソレはないでしょ?


『保育園は給食だったし、弁当の日は買ったのを詰めてたなぁ母親。家の飯もあんまり食った事ないけど、弁当はもっとない』