だって…


『咲さんは…あたしが憧れるすごい素敵な人だもん!!咲さんの空気にあたしはいつも、暖かい気持ちになるもん!!』


2人は…想い合ってるはずなのに、どうして繋がらないの?

これはあたしの勘違い?


『夕陽ちゃん…』


咲さんは顔いっぱいに切なさを交えて微笑んでいた。


『ありがとう…』


何を想っているの…?


『大斗が望むなら…あたしはいつだって…『…いつだって、大斗といる?』


気付いたら咲さんの言うだろう言葉をあたしが代わりに続けていた。


『夕陽ちゃんは不思議な子ね…』


咲さんは微動だしない。


『咲…さん?』

『あたしと…大斗が、お互い望まなくちゃ駄目、心底同じタイミングで望まなくちゃ…それは何も無いのと同じよ…』

『大斗は咲さんを…咲さんは大斗を求めてるでしょ…?』


あたしはそう思うのに…

咲さんは小さく笑った。


『そうね、あたしは大斗を求めてるよ。大斗もあたしを求めてる。でも本当にそうなのかな…依存している気がしてしょうがない…』



咲さんと大斗にしかわからない世界があるのをあたしは知ってる。

2人の…過去…?


『あたし…自分の心…このままじゃ朽ちてしまう…もう2人で墜ちても、本当は駄目なのに…』


大斗も熱の日…似たようなこと、言ってた…



『でも…無くせない。離せない…』


大斗をでしょ…?

咲さんの独特の世界。


深く深く、そこに行けるのは大斗だけ。

他の人になんて踏み込めない世界…

きっと…大斗の世界も…

同じ…


墜ちた先にあるものは

闇?

明?

どんな世界ですか?


いつもの笑顔の咲さんじゃなかった。


煙草の煙がユラユラ上がる。



『あ!!夕陽ちゃん、コレっ!!』


煙をスパッと切るように咲は言った。

そして小さな箱を取り出す。

『え?何ですか…?』

『もう!!お誕生日プレゼントだよ♪』


そして、さっきの顔はどこへ行ったのか屈託なく笑う。

『ごめん…すごい遅れちゃったぁ』

『え?そ、そんな…。あ、ありがとうございます…』