夕陽は穏やかな顔で同じように空を見上げた。

『ちゃんと、2年…経ってるね…』


変わらないようで変わっている…


橙に包まれた。

さっきよりも少しだけ風が冷たくなった。

風が心を通り抜けていく


『送って行くよ。裏門で待ってて』

そう言って、夕陽の頭をポンッと叩いて


『本当に綺麗になったね。見た目じゃなくて、俺はお前に並べるほど良い男じゃないなぁ…』

と呟いて屋上を出ていった。


夕陽は手すりに捕まって空を仰ぐ…顔はやっぱり真っ赤だった。


拓ちゃんと話できた…ちゃんと…言えたよね…?


『よし!』


深呼吸してから勢いよく縁石から飛び降りた。


――――――――――


『た…拓ちゃんが車運転してるっ!!』

『そりゃ大人ですから』

アハハーと夕陽は笑う。


彼女は拓巳の運転する車に乗っていた。

何かが抜けてスッキリしている様子だ。

 
『ご両親、まだ忙しいの?』

『うん、今イギリス…転勤。あたしだけ日本…。』

『大丈夫なのか?』

「うん」と夕陽は頷く。

『そっか…でも頑張ってるみたいだな?今の夕陽、良い顔してるよ』

恥ずかしくてまた赤くなってしまった。

『大丈夫…///学校、楽しいから』

小さく呟いて笑った。


橙は少しずつ黒に色を変えていく…

今日は気持ちの良い夜になりそうだ。


『神崎、大斗…は夕陽の彼氏?』


はいぃっっ?!!


『違うよっ!!拓ちゃんまでそんなこと言わないでっ!!大斗は友達だってば、大斗には大事な人がいるし…それに…あたし、拓ちゃん時みたいに大斗にはドキドキしないもん…!!』


ムキになって捲し立ててしまった。


拓巳はクスクス笑って…


『そうか…』

と遠くを見る。


―――――――――――


「何…かな?君は朝の…」

「別にそんな事どうでもいい」

大斗はかなり機嫌が悪い。

「神崎君…だろ?朝、片桐さんといた」

拓巳は冷静に答える。

「「片桐さん…」って、白々しいんだよ。」

大斗はつっかかる。

事を見抜いて拓巳は一言呟いた。