初めてサッカーと言うスポーツ観戦を経験してから約二ヶ月。相変わらず忙しく仕事に追われる日々を過ごしていた。
だけど、あの日、市陸で感じた感覚は忘れてはいなかった。

新聞に出るトリニータの記事は毎回チェックしていたし、それに連なって選手の名前と顔も徐々に区別付くようになっていた。

取引先にトリニータに詳しい人がいたのも幸いして、サッカーの話題にもちょっとはついていけるようになっていった。


今シーズンのトリニータは第42節を終了した時点で勝ち点74の4位に着けていた。トップ3は京都の81、仙台80、山形の78。
他力本願ながらJ1昇格の火は消えてはいなかった。

前年、前々年と勝ち点1差でJ1昇格を逃した悔しさを忘れてる選手は誰一人としていなかっただろう。
そしてそれはトリニータを応援する人々も同じ気持ちだった。


2001 Jリーグディビジョン2 第43節 大分−甲府

大分スポーツ公園、通称ビッグアイ

この日は朝から空にはどんよりとした厚い雲が覆っていたにも関わらず、ビッグアイに集まった観客は15,000人以上。

ビッグアイ落成試合である京都戦の30,000人には及ばなかったが、それでも今シーズン二番目の来場者数だった。
この試合の重要さをみんな知っていた。

「絶対に勝たなければいけない試合」がここにあった。

引き分けでも、Vゴールでもなく、90分で「勝たなければ」いけなかった。