(僕たちに足りないもの。それって…一体何だろう?) 僕はもう一度、柴山先生の言った言葉を思い起こしていた。 彼は僕たちの演奏の中に何を感じ取ったのだろう? ”私のわだかまりまで見通されているような。不思議な感じがしたの。” (そういえば、松浦が言ってたっけ…。) 彼女の言ってたことは、当たってたのかな…。 頭の中でグルグルといろいろな考えがごちゃ混ぜになり、 訳が分からなくなった僕の足は、駐輪所へ向かっていた。