このアパートで
管理人をしている
私の趣味は、
私だけが知っている
秘密の入り口から、
天井裏に上がり
込むことだった。

私は天井裏から
ずっと瀬戸の行動を
見守っていた。

瀬戸の女性監禁を
初めて見た時は
驚愕したが、
私はだんだん
その歪んだ魅力に
取り付かれていった。

いつしか、
私は捕らえられた
マリアの姿に
恋をするように
なった。

笑いたいなら
笑うがいい、
こんな年寄りの胸が
これほど高鳴ることは
ないのだ。


コンクリートの
天井越しに見つめる
恋人。
私の恋人。


これから瀬戸は
どうするのだろう。

私は、ただマリアが
いなくなった
という現実に、
思わず涙がこぼれた。