しばらく瀬戸は
ゲームを楽しんだ。

異変に気づいたのは、
彼が一度
ゲームオーバーに
なった時だった。

血の匂いがするのだ。

瀬戸はマリアの方を
振り返り、絶句した。

マリアは
手首を切っていた。
先ほどの缶詰めの
切り口を使ったのだ。

すでにかなりの量の
血液が流出していた。

「マリア!
なんてことを
するんだ!」

瀬戸はマリアに
飛び付いた。

マリアは動かない。
目を閉じたまま。

「なぜ
こんなことを……。
こんなに愛して
いるのに」

歪んだ愛情。
後悔。




ううっ。





私は思わず声を
漏らしてしまった。


「誰だ?」

瀬戸が天井を向いた。