レンの言葉に、耳を疑う。
「いいの…?」
「ああ。クロス、いいよな?」
「勿論です、レン様。ではミライ、元気に暮らせよ」
クロスは左手を翳すと、シュンッ…!という音が似合うような消え方で、この地球を去っていった。
最後にしては、えらい淡白なお別れの仕方。だけど、クロスらしいとも思う。
二人きりになった空間。
これでレンと居れるのも最後なんだな…と改めて実感する。
「本当にミライには辛い思いばっかりさせたよな。チャーム集めの時も、寛司の事も…」
「何でレンが謝るのよ!最初から決まっていた運命だったんだし、気にしないでよ!」
悔やむ表情を変えないレンの頬を、あたしはバシッ…!と力の限り叩く。
そして、口を開いた。
「あたしはレンと、笑ってお別れしたい。なのにレンがいつまでも悔やんでいる表情してたら、いつまで経ってもお別れ出来ない…」
「ミライ…」
「あたしはレンに出逢えて、本当に幸せだった」
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