本当は行かないでと思っている。レンやクロスだけでなく、寛司まであたしの手の届かない場所に行ってしまったら、


あたしはきっと、立ち直れなくなる。




「寛司は神様なの…。あたしだけでなく、この世界中の人達を護って行かなきゃいけないんだよ…」




自分に言い聞かせるように、思いを言葉に変えていく。


純白の翼が少しだけ動きを見せた事に気が付き、あたしは寛司の胸に顔を埋めた。


涙でグシャグシャになっている顔を、寛司やレンに見られたくなかった。




「寛司、あたし達はまた逢えるよ」



「ああ。俺もそう信じてる」




きっともうすぐ、寛司は天界へ飛び立ってしまう。自分の本当の居場所がある天界へと。


タイムリミットを全身で感じながら、あたしは勇気を振り絞って、寛司の顔を視界に入れた。



あたしの予想とは違い、寛司は微笑んでいた。



何だか、笑った顔がオキカ様に似ている気がする。


さすが、“神”だ―――




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