レンの声が境内に響いた瞬間、ザワッ…という震えが全身を襲ってきた。


そして、この境内を取り囲む空気が、一瞬にして一変した。




「やぁ、みんな元気かい?」




鳥肌が立つ感覚。


まったく感情がこもっていない声色、まるで台本を棒読みしているみたい。


ゆっくりと振り向いた先には、驚愕の光景が待っていた。




「おじ…さん…?」



「やぁ未来ちゃん、随分と大人っぽくなって、色気が増したねぇ?」




ゆっくりと歩んでくるその人を、拒む事が出来ない。チャームに操られていると頭では分かっていても、拒絶出来ない。


ブルーのポロシャツを着て、眼鏡を掛けているその人は―――紛れも無く、寛司のお父さんだった。


チャームに操られている自分の父親の姿に、寛司は身動き一つ取れなくなっている。




「父、さん…」



「お前に父さんと言われる筋合いは無い…!」




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