あたし達は人影がまったくない、町内の神社の境内に身を潜めていた。


あたしと寛司を支えながら飛んでいたレンの顔には、少なからず疲労が溜まっているようだ。




「大丈夫…?」



「ああ。ちょっとだけ無理し過ぎただけだから、心配すんなよ」




レンに頭を撫でられ、少しずつ心が落ち着いていく。


それとは裏腹に、寛司の表情はどんどん曇ったモノへと変化していた。


…これ、ヤバかった?




「何抜け駆けしてんだよ、レン」



「話が見えないんだけど、カンジ」



「あ゙?知らんぷりする気か?」



「知らんぷりもクソもないだろ」




この状況のせいで、コソコソ声でないと言い合いをする事が出来ない二人がおかしくて、思わず笑ってしまう。


突然クスクス…と笑みを浮かべ始めたあたしに気付き、寛司は恥ずかしそうにしながら髪を掻いていた。




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