姿を消したんじゃない。


―――レンと寛司は、ブラックホールの中に吸い込まれたんだ。



吸い込まれなかったであろう羽が、あたしの目の前に落ちてくる。


ひらり、ひらり。


ゆっくりと地面に落ちていく。




「レン…寛司ーッ…!!」




目から容赦無く零れるモノは、紛れも無く涙。


ガクン…と身体が崩れ落ち、あたしは道路の真ん中に座り込んでしまった。



力が入らない。

息が荒くなる。



あたしは大切な人を、護る事が出来なかったんだ。


ずっと傷付けたくない、そう心から思っていた人達を、自分のミスで手放してしまったんだ。



もう―――希望の光が見えない。




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