「ダメ、レン―――!」




地面に横たわりながらそう叫んだ瞬間、寛司の身体がどんどんブラックホールの方に引き寄せられている事に気が付いた。




「クッ………!!」




もう限界なのか、フェンスを掴む力が弱くなってきている。



このままだと、寛司が漆黒の世界へと誘われてしまう―――!



あたしは杖とは反対方向の手をフェンスに伸ばし、寛司の代わりに身体を支える。


寛司の大きな背中を杖と共に支えると、レンの大きな声が響いてきた。




「ミライ!もうカンジは限界だ!俺が今からそっちに行くから、寛司の身を俺に預けろ!」



「でもそんな事したら、レンも寛司も吸い込まれるよ…!」




レンの翼が背中にそっと現われた所を見て、あたしはレンが本気で寛司を助けに来ると、そう確信してしまった。




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