今までのブラックホールが何だか可愛く思えてくる程、目の前のブラックホールから感じられるパワーは強大だ。
吸い込む力も、漆黒の世界から感じる恐怖感も、全てが桁違い。
…近付くな、早く逃げないと。
そんな警告が頭の中で鳴り響いているにも関わらず、あたしの足は動かない、いや、動けない。
人間、真の恐怖を感じたら、誰しもこうなってしまうのではないだろうか。
「未来、固まってんじゃねぇよ!」
あたしがブラックホールに吸い込まれないように、寛司があたしに覆い被さり、近くのフェンスを掴んで、飛ばされないように抵抗する。
その時、自分の思考がストップしていた事に気が付いた。
あたし、何してんのよ。
寛司が必死にあたしを護ってくれているのに、自分の安全を顧みずに、震える身体を包んでくれているのに。
今にでも飛ばされそうなあたしと寛司を助けようと、レンがソードを振り回しながら近付いて来ようとするのが視界に映る。
ただでさえ強力な風なのに、レンまで近付いてきたら、あたし達みんな吸い込まれてしまう。
そして―――地球はきっと、破滅してしまう。
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