レンには、好きな人が居る。
あのやり取りを見て、あたしは確信してしまった。
「未来、俺は傷付くお前を見たくない…」
「寛司ッ…!」
あたしが短い悲鳴を上げると、寛司は躊躇する事無くあたしの身体を力強く抱きしめてくる。
寛司の身体は、思ったよりも筋肉質で、ガッチリしていて
―――男なんだな、と改めて知らされる。
「俺は、未来をレンの所には行かせない」
「え…」
「わざわざ自分から傷付きに行く事なないだろ。辛い時には俺が傍に居てやる。だから未来…
―――俺を、頼ってくれよ」
そう切なげに呟く寛司の声を聞きながら、あたしは視線を屋外へと向ける。
たくさんの人で賑わう外では、この教室にも聞こえてくるくらい大きな音で、アナウンスが流れていた。
―――「後夜祭メインイベントの告白大会に出場させる代表の方は、打ち合わせを行いますので、至急体育館まで来て下さい。繰り返します…」
.