ギュッと力強く握られる手首から、徐々に熱が広がっていく。


寛司はあたしの手を離す事なく、ゆっくりと口を開いた。




「俺は、無理矢理聞き出して、未来を苦しめるつもりはねぇよ」



「………」



「それよりも、未来を助けてやりたいんだ。お前一人が何もかもを背負って苦しむ姿なんか、見たくねぇんだよ…!」




寛司の声が響き渡り、辺りは動きを止める。


焼き鳥亭から出てきた数人のクラスメートも、あたしと寛司が繰り広げる茶番劇に夢中だ。


何も事情を知らない寛司が、あたしの為を思って、こうやって声を荒げてくれて…




「ありがとう、寛司」



「未来…」



「ここじゃちょっと目立つから、場所移動しようか」




力なく告げたあたしの目には、少量の涙が輝いていた。




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