人混みを掻き分けて、あたしは二階の廊下を疾走する。


場違いな追いかけっこを続けるあたし達に、生徒や一般客は誰もが呆然としていた。



…一体寛司は、いつになったらあたしを追い掛ける事を諦めてくれるのだろうか。


このままの状態だと、あたしが立ち止まるまで、ずっと諦めてくれなさそうなんだけど。



どうすればいい?

白状した方がいい?

隠し通した方がいい?



様々な感情が交差する中、あたしの身体は二年生の出し物「焼き鳥亭」の前に差し掛かる。


そして、ちょうどその時―――




「やっと捕まえた」



「―――ッ…!」



「未来はやっぱ足速ぇーよ…」




寛司の手が、あたしの手首を捕らえていた。




.