勢いよく飛び出した、真っ青な世界に、あたしはいつまで経っても慣れないでいる。


延々と続く、自由な世界。


解放感に満ち溢れているはずなのに…空を飛んでいる理由が理由なだけに、あたしの心は複雑だ。



視線を落とすと、噴水の周りを中心に、目を逸らしたくなる光景が一面に広がっている。


中には子供連れの姿もあって、泣き叫ぶ子供を必死に庇う母親の姿もあった。


…さっきのあたしと愛海ちゃんみたいだ。



そんな状況だからこそ、あたしは一刻も早くチャームを封印しなければいけない。


そして、みんなの笑顔を取り戻さないといけない。




「ミライ、着いたぞ」




レンの声に頷く。


ちょうどあたし達は、噴水の真上に位置する所に到着していた。



―――絶対に失敗は許されない。


あたしはクロスを力いっぱいに握り締め、レンに合図を出した。




.