杖と変化したクロスを握り締め、あたしとレンは勢いよく倉庫を飛び出す。


少し離れた所にある噴水は、チャームの仕業で暴走を続けており、一般客への攻撃を続けたままだった。


たくさんの数の悲鳴に、あたしは思わず耳を塞ぎそうになる。




「困ったな…。俺達の姿を一般人に見られる訳にもいかねぇし、これじゃ堂々とチャームを封印する事が出来ない」



「そ、そんな…!」




レンの独り言に反応した後、あたしはもう一度噴水の方に目を向ける。


大量に噴射された水は、高々と空中に上がった後に針に変化し、人々を襲い続けている。


校舎に避難している人も居るが、大半はパニック状態に陥り、その場でただ悲鳴を上げているだけだった。




「このまま時間を食うと、針が校舎の窓ガラスを突き破って、二次被害を生み出す可能性が大きい」




どうしよう…

どうすれば、あたし達の姿がバレる事無く、人に被害を与える事無く、無事にチャームを封印できる?



倉庫の影に身を潜めながら、あたしの脳はフル回転を始めた。




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