「最初はさ、何時に寝ようが午前四時頃に目が覚めるんだよね。それでそこからが長くてさ、参ったよ。多分、睡眠中に行う作業を、覚醒時に行っているんじゃないかと思うんだけど…脳みその掃除か何だか知らないけど、頭が記憶の整理を始めるようなんだ。次々と思ってもいないことが浮かんでは消え、浮かんでは消える。これが結構、辛いんだよ」

私は彼の状態を想像しながら、尋ねた。

「考えたくないことを考えてしまうということ?」

「そうだね。簡単に言うと、そういうことだね」

不思議だ。

私には経験がないことなのに、何となく分かる。



私が人の経験について話を聞いて、想像がつくということは滅多にないことだった。