,こだわり

彼のように『それは病気の症状なのか?』とダイレクトに訊いてくる人は珍しい。

いや、先ずいない。

普通は私がこんなことになったら、一緒に居た人間は驚いて、私を持て余してしまう。

気まずさと不自然な雰囲気が漂うだけだ。

私は彼が同情して心配してくれているのだと分かると、バラを見つめた目に涙が滲んできた。

するとバラの色が変わってしまい、私は息を吐いて瞬きをすることが出来た。

涙が一粒、地面に落ちた。

彼は何も言わずに私の肩を抱いたまま、自分の方へ引き寄せた。