気に入るという感覚も、私の中でまだきちんと学習できていなかった。

気に入るというのは、好きという感覚とほぼ同じようなものだと、昔、女医に説明されたことはある。

しかし、あまり納得してはいなかった。

他人がその言葉を使っているのを聞くと、どうも違うような感じがした。

だからいくら考えても私は彼のこの質問には、きちんと答えることはできないだろう。

私は素直に言った。

「気に入ったかどうか分からない」

「ふーん。そうなんだ。それならどうしてそんなに見つめているの?」

「気になって目が離せない」