「克彦今日は暇でしょ?」

「勝手に決めるなよ」

「バレンタインに予定なんかある訳ないじゃん」

……はっきり言う女だ。



「じゃあ一緒にどっか行くか?」

冗談だけど思い切って言ってみる。

裕美の表情が一瞬、真剣になったような気がした。

「また調子いい事言って……9組の智子がフラれたって泣いてたよ」

「いきなり付き合ってなんて言われてもさあ、俺だって都合があるよ」