Valentine Fake(Intron crack企画)

「さっきからバカバカって、お前が送れって言ったんじゃないかよ」

俺はゆっくりと自転車を降りた。

路上に止めて裕美と向き合う。



「どうして……止めないのよ」



「……どうしてって……」

「男の部屋行くのよ。お母さん居ないかもしれないのよ。襲われちゃうかもしれないのよ。止めてよ!」


興奮したのか、裕美の頬が赤く染まる。

その頬に大粒の涙がこぼれた。


二人の間を突風が吹きぬけた。

彼女の髪がフワッと揺れる。

それでも裕美はまっすぐに俺を見つめた