Valentine Fake(Intron crack企画)

小学校の時、男子より大きかった身長も今では俺の肩までしかない。

いつも明るい彼女が神妙な表情で俺の足元を見つめた。

寒さのせいか、唇の色が少し悪い。

元々日に焼けていない素肌が、透き通るように白くなった。

チョコレートの入ったカバンを前に抱え、そこから動こうとしない。


「ついてってやろうか?」

「……いい」


「そか……じゃあ俺もう行くから」

これ以上ここに居たくない……早く逃げ出したくて俺はペダルに足をかけた。



「克彦!」