「克彦! 帰るの?」

聞きなれた声に俺は、自転車のハンドルを持ったまま振り向いた。

少しだけ心拍数が上がる。

逆光で影になっているが、それでも弾けるような笑顔が分かった。

校庭から吹いた突風が裕美のセーラー服のスカートを膝までめくり上げた。

それだけで顔が熱くなる。



「ああ……そうだけど何?」