「えーと、んーと、これは、……あ、あった、って高っ!」

ひとりでぶつぶつ呟きながら、食器棚前を行ったり来たり。

……みやびだ。

結局メイド服は着れなかったものの、代わりに渡された白いワンピースを身に纏い、精一杯背伸びしている。


あの後。宏海に頼まれたのは食器の片付け。

普段は料理人の佐藤さんの仕事なのだが、今日は彼は休み。

よって、まだ新入りで、手の空いていたみやびの仕事となったのだ。


けど。

なぜか食器棚が無駄に高いせいで、割らないように仕舞うのが難しい。

決してみやびの身長が低いってわけじゃあないのだけれど。


慎重にやらないと、うっかり落としてしまいそう。

いかにも高級品、っぽいのに。