瞳が本を閉じた。
『でも変ね。新人賞も何も賞を取ってない作家が本を出版出来る訳?』
瞳が鋭い質問をする。
『それはどうなんだろ。自費出版かなぁ。』
『自費出版?この本は有名な○×文庫よ!それで自費出版はないんじゃない?』
瞳…いいから読めよ…
『俺もわからないよ!まぁ実は賞を取ってるのかもしれないし。ほら!今は携帯で小説の投稿も出来るらしいぜ』
適当なことを言ってごまかした。
『そうなの?ふーん』
瞳はいらぬ詮索をし、本を疑っている。ところで瞳は今日は夜勤ではなかろうか。
既に4時を過ぎているからだ。
『瞳!今日は夜勤じゃなかったか?間に合うのか?』
『今日は休むわ…なんか仕事したくない気分なんだ…』
『代わりの人はいるのか?』
『透は心配しなくていいから。それに小説読みたいし』
『そうなんだ。ちなみにこの小説なんだけど、252ページ辺りで犯人が誰なのか分かるから、その前に犯人が誰なのか答えてね』
『うん、分かった。今は190ページ読んでるんだ。』