何故だか花火を見あがる柊の顔がうかなくて、
でも理由を聞けなくて。
俺もそのまま、夜空を見上げる。
フィナーレなのか、なんなのか。
空一面が光で真っ白で、
まぶしすぎて目を開けるのもやっとのこと。
打ち上げる音が、
心臓に響いて気持ち悪い。
ヒュー、っと花火は打ち上がり。
ドォォン、っとはじけて、
ぱらぱら夜空に消えていく。
花火なんて儚いものだ。
輝けるのなんて一瞬だけ。
でもその儚さを見るために、
人はこんなに集まるんだ。
『一瞬の儚さこそがこの世で１番美しい』
そんなことを誰かが言ってた気がする。
それなら、
“恋”とやらもその類かもしれない。
だって今こんなに“儚い”。
一瞬だけの喜びの為に、
一瞬だけの輝きの為に、
生きているうちの一瞬だけの
“恋”の為に･･･････
俺の恋花火は、
一生懸命に消えないように、
夜空に打ちあがり続けてる。
