猫と君



父さんは葵を見つめて
話し始めた。


「大輝と麗子ちゃんが死んだ。

葵ちゃんには本当に辛い思いをさせてしまったね。


二人を助けてやれなかった…」


父さんは俯いて肩を震わせ、こぶしを強く握り締めて
びっくりするほど細い声で言った。


そして、再び葵を見つめた。


「祖父母さんもいない。
家も燃えてしまった…。

だからね、葵ちゃん」


「はぃ…?」



「…俺たちの娘として
家に来ないか?」


「……ぇ?」




両親のいきなりの提案に
俺たち二人は驚いて

何も言葉がでなかった。