すっかり暗くなった道を 並んで歩いた。 家もない。 家族もいない。 今、葵はどんな気持ちで 俺の隣にいるのだろう…。 俺には わからなかった。 だって そんな立場になった自分を 想像できなかった。 知りたくても 知りたくない。 自分の家に帰る道で 矛盾な気持ちに苦笑した。 「…」 お互い 何も話さなかった。 話す必要もなかった。 俺も葵も なんだか落ち着いていて 過去のことも 未来のことも 何も考えずに ただひたすら歩いた。