「…それじゃ、葵ちゃん。
おばさんたちちょっと買い物行ってくるね
着替えとかも買わなきゃいけないから…」
母さんはそう言って
俺たちみんなを病室の外に出した。
きっと母さんは
今は葵を一人にさせてあげたいと思ったからだろう。
パタン…
母さんは
静かに病室のドアを閉めた。
「…ふぅ……。
どうする?慧も一緒に買い物行く?」
母さんは今まで詰まっていた息を
すべて吐き出すようなため息をして
そう言った。
母さんの声が
少し震えていた…。
「いや…俺はここで待ってるよ…」
「…そう。
それじゃ、母さんたち行ってくるね」
「…うん」
母さんたちの足音が聞こえなくなるころ
俺は母さんと同じため息を吐いて
一人で泣いた。
母さんたちも大丈夫なのか…。
突然親友が死んだんだ…。
父さんも母さんも
今頃きっと……。
そんなことを思いながら
また服の袖を濡らした。