「まるで美羽の唇みたいだ」 そう言って、また薔薇の花びらを一枚ちぎり、自分の口元にあてた ちゅ…と最初は淡く唇を寄せて、次に舌で軽く舐めた 薔薇の花びらを横に、赤くなった私を見ながら彼は呟いた 「欲情しちゃった?」 唇がよりリアルに見え、柔らかく熱い口づけをまるでされているようで 心が溶けそうになる 「…そ…そんなわけないっ…」 私はそのまま植物園を抜け出した あのままあそこにいたら壊れてしまう 彼の熱で