「仕方ねぇだろ?あみだくじで決まったんだからよ」


呆れたように溜息をつくセイヤ、こいつはちゃっかり焼きそば担当だ。

もはや羨ましさを通り越して、憎い……。


「王子がんばれ」

「王子負けるな」

「王子、」

「王子、」

「王子って呼ぶんじゃねぇぇぇぇぇぇぇ!!」


「……ユウイチくん……大丈夫?」


邪悪な小人どもが面白がっている中、心配してくれている心優しい白雪姫が一人。


「あ……おう。大丈……」

「心配無用よアヤちゃん!寧ろ(むしろ)しごいてやってちょーだいな、このダメ王子!」

「ヒロてめぇぇぇぇ!喋らせろや!!」

「けっ、喋る前に王子の台詞を完璧にしやがれっつーの!」

「殺す!!」


おれは台本を丸め、金棒を振り回す鬼の形相でヒロを追い掛ける。


白雪姫役・アヤ。

2年から同じクラスになり、前よりよく話すようになった。


……なにげ緊張してるおれ。


だって白雪姫の劇のラストには、キスシーンがある。

もちろん“ふり”だけど。


……どうすんだよ!!
ヤベェよ!!

上手くできっかな、おれ……。